【アンケート失敗例】アンケートの調査目的が定まっていない|調査票設計のコツ

アンケート調査を実施する際、

「アンケートを取ったけど、これで何がわかるのか?」
「そもそも、どうやってアンケート調査をすればよいのか?」

といった漠然とした質問が多く寄せられます。

これらは、調査目的が定まっていない状態でアンケートを実施した(しようとした)際に起る問題となる場合が多いです。

今回はアンケート調査の方向性が定まっていないと、どういう集計結果になるのか?またアンケート調査の目的の定め方や実施方法をご紹介します。

アンケート調査の目的が定まっていない場合の失敗パターンとは?

冒頭でもご紹介したように「アンケート調査の目的」が定まっていない事が意外と多いです。

費用や労力かけてアンケート調査してるのでそんな事はないだろう!とお思いかも知れませんが、意図せず「目的が迷子」となってしまっている場合もあります。

調査の目的が定まっていない場合、以下のような失敗事例が考えられます。

・調査の対象者が適切でない。

調査の目的に応じて、対象者の属性や数を決める必要がありますが、目的が不明確だと、対象者の範囲やサンプルサイズを適切に設定できません。その結果、調査結果の信頼性や有効性が低くなる場合があります。

・調査方法が不適切である。

調査の目的に応じて、最適な調査方法や手法を選択する必要がありますが、目的が不明確だと、調査方法や手法の適合性や効率性が低くなります。その結果、十分な回収数を得ることができず、追加の調査コストや時間が無駄となる可能性があります。

・設問項目や質問内容が不適切である。

調査の目的に応じて、必要な情報を得るための項目や質問を設計する必要がありますが、目的が不明確だと、項目や質問の内容が見当違いとなり、有用なデータがとれていない場合があります。その結果、その後の集計や分析など、調査結果の活用が困難になる可能性があります。

以上のように、アンケート調査の目的が定まっていない場合、調査の品質や価値を損なう可能性が高くなります。

したがって、アンケート調査を行う前には、調査の目的を明確に定めることが重要です。

目的が定まらないアンケート調査の具体的な失敗例

実際に上記の失敗パターンを例に、どのような事例があるのかをご紹介致します。

これらの例は実際のアンケートをより読者に分かりやすいように改変しており、実際のアンケートではございません。

【失敗例】調査の対象者が適切でない/調査方法が不適切である

○福祉アンケート

老人介護関係のアンケートをWebで実施したが、「デスクワークメインの従業員」と、「現場メインの従業員」で回答率に差が出てしまった。

特に「現場メインの従業員」はWebを使うタイミングがあまりなく、回答率が1割程度でした。

ここでの問題はWEBアンケートの回答率が低いというより、手元にPCがあり回答しやすい環境が整っている「デスクワーク職員」と手元にPC等がない「現場メインの職員」とで回答率に大きく差が出てしまったという点です。

Webでの実施の為、「デスクワーク職員」の回答率は良いが、「現場職員」の回答率が悪く、全体で見たアンケート結果が「デスクワーク職員」の意見が大きく反映されたものになってしまいアンケート結果の正確性に疑問が生じます。

この場合、Webでの回答者が少ない為「紙」のみでのアンケートもしくは、「紙とWeb」での同時取得の方が回収数が上がった可能性があります。

このように、調査の目的を明確にし回答者を抽出、その回答者が回答する状況を想像することで、必要な調査手法が見えてくるかと思います。

【失敗例】設問項目や質問内容が不適切である。

○顧客満足度調査

顧客に対する満足度調査を計画、しかし調査票を作成していくうちに、満足度だけではなく、顧客の実態調査や、ニーズ把握調査など、多くの内容を詰め込んだため膨大なアンケート票となってしまった。

その後、設問ボリュームを抑えたために、内容が薄くなってしまい、本来の「顧客満足度調査」で十分な結果を得ることができなくなってしまった。

結果

本当は、30問の顧客満足度調査を行う予定だったが、しっかりと目的を設定していなかったために、設問が錯綜してしまい、結局当初の目的だった、顧客満足度調査は10問のみの内容が薄いものが出来上がってしまった。

アンケート調査の目的を明確にするための方法

アンケート目的を明確にすることで、調査の対象や方法、質問項目などを適切に設計することができます。代表的な目的は以下の通りです。

実態把握

顧客や市場のニーズや傾向、満足度や不満点などを知るためのアンケートです。現状の問題点や改善点を発見することができます。

例)
・利用者のニーズ調査
・とある商品の満足度調査(CS調査)
・福祉系従業員の実態調査 

検証

事前に立てた仮説や計画が正しいかどうかを確かめるためのアンケートです。効果測定や意思決定の根拠にすることができます。

例)
・認知経路の調査
・キャンペーンの参加理由調査
・サンプル商品の使用感調査

変化把握

時間経過や施策実施などによって顧客や市場の状況がどのように変化したかを知るためのアンケートです。トレンド分析や改善効果の評価にすることができます。

例)
・コロナ過におけるライフスタイルの変化調査
・広告の効果測定
・トレンド予測

なぜアンケート調査の目的が重要なのか?

「アンケート調査の目的」は、調査の設計や分析に影響します。

目的によって、調査の対象や範囲、質問の内容や形式、回答者の選択やサンプリング方法などを決める際の基準となります。

また目的は、調査結果を解釈や評価する際の指標となります。

目的が明確でないと、調査の信頼性や有効性が低下し、調査の意義や価値が失われる可能性があります。
したがって、アンケート調査を行う前に、「調査の目的」を明確に定義し、それに沿った調査計画を立てることが重要です。